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ストラットフォードの日々 Part 2 [生活]

こちらへ来てから、5本の舞台を観ました。

ストラットフォードには劇場が4つあります。
客席数約1,800 の "Festival Theatre"、1,000 の "Avon Theatre"、480 の "Tom Patterson Theatre"、260 の "Studio Theatre"。

春から秋までの6ヶ月間、これらの劇場でシェイクスピア4本、ミュージカル2本、現代劇3本、古典劇3本、そして新作1本がレパートリーとして日替わりで上演されています。

というわけで、まだ半分も観ていなーい。


夫Jが演出するシェイクスピア『恋の骨折り損』が上演されるのは"Festival Theatre"。
ストラットフォードで一番最初に建てられた(1957年完成)メインの劇場で、フェスティバル初期に劇場として使ったキャンバス地の巨大テントをモデルにデザインされたそうです。
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ちなみに、1953年に始まったこのフェスティバルで最初にセリフを発したのは、リチャード三世に扮したアレック・ギネスだったとか。

客席数1,800といったらかなり大きいのですが(帝国劇場が1,900強)、とてもそうとは感じさせません。張り出した小さな舞台を囲むように、客席が180度の扇型に広がっているからです。どの席からでも臨場感をもってお芝居を観ることができます。
古代ギリシャとか古代ローマの劇場のよう、理想的です。
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劇場前の庭には、シェイクスピアの戯曲に出てくる植物が全て植えられている!
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次に大きいのが"Avon Theatre"、前回書いた『アンネの日記』を観たのはこの劇場。
オーソドックスな作りですが、これも大きさを感じさせません。
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この劇場は、演劇以外のあることでも知られています。
街の中心にあり、開場時間には人で溢れる劇場前。その入り口の階段で、幼き頃のジャスティン・ビーバーがギターの弾き語りでバスキングしていたそう。

彼は今や、最も有名なストラットフォード出身者かもしれませんね(音楽以外にも色々な意味で)。
成功を収めて大金を手にしたジャスティンが、数年前に自家用ジェットだかヘリコプターだかで飛んで来て、同じ場所で弾き語りをしたことがあるらしく……
ヘリコプターや小型飛行機の音がすると、
「ジャスティンかな?」
と言ったりする人がいます(笑)。

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今日も劇場前でギターを手に歌っている男性が。いつも誰かが演奏しています。


3番目は"Tom Patterson Theatre"。
この劇場はフレキシブルで、年ごとに舞台の形を変えるそう。今年は長方形の舞台の三辺を客席が囲む形です。来年は四方を囲む形にするという噂。
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写真では分かりにくいですが、かなり縦長の舞台です。

Tom Pattersonという人物の名を冠した劇場ですが、このトム・パタソンこそフェスティバルの発案者であり、ストラットフォードの救世主です。

鉄道のジャンクション(合流点)として発展してきたストラットフォードは、蒸気機関車が廃れていく中で経済が悪化の一途をたどり、先が見えない状態でした
そこで、ストラットフォード出身のジャーナリスト、トムが市に提案をしたそうです。ストラットフォードという名前の街なのだから、シェイクスピア・フェスティバルを催して観光客を集めよう、と。

で、63年目の今年も続いている……街の一番の産業は勿論「観光」です。目の付け所が素晴らしかったですね、トムさん。

シーズン開始のイベントでは、バグパイプ演奏に合わせて白鳥が街を行進するそうです。
これもイギリスのストラットフォードらしさを出す演出、面白い〜。
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そして一番小さな"Studio Theatre"。
これは”Festival Theatre"をごくごく小さくした感じの劇場です。
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演技者が同じ空間に生きているのを感じられる、こういう劇場が大好きです。

私たちが観に行った作品、舞台には水が張ってあり(だから役者の靴は全てゴム製)、素っ裸の男性がそのプールにうつ伏せに横たわっている状態から始まりました。起き上がって水に浸かった洋服を着る、その気持ち悪さも共有してしまいます。
娘たちは、裸の男性が目の前に立った時点で固まってしまいました……


おまけとして、劇場とは関係のないストラットフォード・トリビア。
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十代の頃のトーマス・エジソンが、短期間この家に住んでいたとかいなかったとか。

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