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8月15日 [生活]

もう日本は暑いはず、と半袖&ノースリーブばかりスーツケースに詰め込んで東京に降り立ったのが5月初旬。想像していたよりも涼しく、数少ない長袖を着続けていたのが遥か遠いことのように感じられます。梅雨は始まったと思ったらすぐに終わってしまい、猛暑、酷暑が襲ってきて……ここまで暑かったかと自分の記憶を疑うも、記録的な暑さは私の子供時代とは比較にならないものだったよう。
そんな灼熱の東京での仕事が終わり、3ヶ月ぶりにロンドンに帰ってくると、開ききった汗腺が一気に縮こまる寒さ。スーツケースの中の夏物はそのまま部屋の奥深くに仕舞い込みました。

久々のロンドン、仕事に追われてお預けとなっていた結婚20周年を祝うため夫と出掛けました。こんな風に二人きりでレストランに行くのは久しぶり、久しぶりすぎて前回が一体いつだったのか思い出せない……10年は経っていないと思うのですが。

席に着いた瞬間、ふと不思議な感覚に襲われました。8月15日にイギリス人と日本人の夫婦が結婚20周年を祝っている!

日本では終戦記念日、イギリスではVJ Day (Victory over Japan Day=日本に勝利した日)と呼ぶ8月15日。5月8日のVE Day (Victory in Europe Day=ヨーロッパで勝利した日)と区別するため、呼び名には『日本』という言葉が入っています。イギリスに住む私のような日本人にはどこか居心地の悪い響き。
敗れた日本は敗戦記念日とは言いませんが、イギリスにとっては勝利記念日なわけです。

必ずしも正義だから勝つ訳では無い、そもそも正義と悪が戦っているとも限らない、力が強くて運に恵まれた方が勝つのが戦争。

とはいえ第二次世界大戦に関しては、周辺諸国を侵略し残虐な振る舞いをするドイツや日本があり、それを阻止する名目で行われた戦争であるがゆえに、連合国側=正義が勝ったという感覚で堂々と勝利を祝うのでしょう。

勿論そういう一面もありますが、実際はそんな単純な構図ではなく(ドイツ側につくべきと主張するイギリス人もいた)、連合国には連合国の利己的な思惑もあったはず。他国を侵略することにおいてはイギリスの方が歴史も長く、残虐な行為と無縁だったわけでもありません。

だから私の思いは、そうした国や組織の思惑を正義だと信じて戦った兵士、その攻撃の的となった犠牲者たちへと向かいます、国籍が何処であろうと……その時、その国に生まれたがゆえに巻き込まれていった個人へ。

第二次世界大戦を体験した人たちは年々減っていますが、私がイギリスに住み始めた頃は大戦を記憶に留めている年配の方々がいて、その人たちの日本や日本人に対する感情は決して良いものではありませんでした。日本を戦争へと向かわせた当時の政権、そしてきちんと清算をしないその後の政権のせいで、日本人が十把一絡げに嫌われることへの理不尽さに苛立ち、必要以上に傷ついたものです。

でも戦時下に生きていた者だって、争いさえなければ敵意と無縁でいられた個人だったはず。

かつては敵国だったことなど今や歴史の授業以外では意識しないイギリスと日本。その2つの国の血が流れる3人の子供たちを生み育て、2つの国を自由に行き来しながら20年が経ったのか、と。

お腹がいっぱいになり最後のデザートは二人でシェア。
仲良く、争いは起きませんでした(笑)。
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